村人A(紙)に関する進捗報告と各種返信及びあれやこれ。
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全力で遅刻した、桃の節句小ネタをこっそりと。
3/3終了までの2時間で小ネタを書き上げられるかのタイムアタックに挑戦したのですが、遅筆な自分は見事敗退し、今更の掲載ですすみません。
遅刻すぎて恥ずかしいので、折りたたみますー。
3/3終了までの2時間で小ネタを書き上げられるかのタイムアタックに挑戦したのですが、遅筆な自分は見事敗退し、今更の掲載ですすみません。
遅刻すぎて恥ずかしいので、折りたたみますー。
「何どうしたのふたりとも」
茶の間を覗き込んだ七緒が、ぽかんとした声を上げたのも無理もなかった。いつもの青島家の茶の間には、妙にぴりぴりとした空気が漂っていたのである。そして、その空気を作り出している張本人たちは、七緒の言葉を完全に無視していた。ひとりははたきを持って腕を組み、仁王立ちしている千代婆さん。もうひとりは、一越縮緬の袷をたすき掛けにし、千代婆さんの横でちょこんと正座をしているカミサマである。
「え、ちょ、なんかあったの……?」
大学生特有の長い春休みの一日、友人と遊びまわって最後に一杯ひっかけ、日付変更前にいい気分で帰ってきた七緒の目に飛び込んできたのは、そんな光景だった。いつもなら千代婆さんは寝酒も終えてそろそろ床に入る時間であったし、カミサマはのんびり風呂を済ませ、寝間着の浴衣姿で3DSなんぞをいじっている時間なのである。七緒が困惑するのも無理は無い。
相変わらず無言のまま、深夜ニュースに視線を注いでいた千代婆さんとカミサマだったが、テレビから日付変更の時報が流れると同時に、ものすごい勢いで襖を開け、バタバタと茶の間から走り去ってしまった。取り残された七緒は、相変わらずぽかんとするだけである。
「マジで何なの……?」
しばらく茶の間で固まっていた七緒だったが、千代婆さんとカミサマが走り去っていった方向から慌ただしい物音が聞こえてきた。どうやらふたりは床の間でどたばたしているらしい。床の間は特に誰が使っている部屋でもなく、今は七緒の雛人形が飾られているだけである。とりあえず七緒は床の間を覗いてみる事にした。
恐る恐る七緒が床の間を覗くと、丁度カミサマが大きな桐箱の蓋を閉めたところだった。それを確認して、千代婆さんが柱にかけてある時計を勢い良く振り向く。
「よし、二十分以内にどうにかなったね」
「うわー!よかったー!!」
なにやら喜び合っている千代婆さんとカミサマの間には、大きな桐箱がひとつ。床の間にあったはずの雛人形は綺麗サッパリ無くなっていた。おそらく、桐箱の中に既に仕舞われたのだろう。何やってるんだと眉間にシワを寄せてふたりを眺めている七緒に、やっと千代婆さんとカミサマが気がついたらしい。
「ああ、どうだい七緒これ」
ドヤ顔で七緒を見る千代婆さんとカミサマは、とりあえず七緒の帰宅は把握していたらしい。しかし、そんなドヤ顔でどうだい、と言われてもさっぱり状況のわからない七緒には、特に言うこともない。そんな七緒の様子に、千代婆さんとカミサマはお互いに顔を合わせると、呆れたような表情でやれやれとため息をついた。
「雛人形を仕舞うのが遅いと、婚期が遅れるって言うでしょう」
「春休みに入ったというのに、デートの一つにも出掛けない孫娘を哀れに思った婆ちゃんたちの頑張りを褒めておくれよ……」
「ハァ!?」
いきなりそんな事を言われた七緒が声を荒げるが、当のふたりはまたひとつ大きなため息をつくと、桐箱を部屋の片隅に置いてから、あー、なんかもう婆ちゃんがっくりしたわ、だの、なんだか無駄な労働をさせられたような気がしますよねー、などと言いながら七緒の横を通り過ぎていった。当然、七緒は完全に無視して。
愚痴愚痴と言いながら茶の間の方へと歩いていくふたりを見送り、またしてもぽつんと取り残された七緒は、とりあえず開けっ放しの床の間の襖を閉めるため、ついと手を伸ばした。
「……とりあえず、馬鹿にしてくれたお礼参りはしなきゃいけないわよね」
ぴちりとしめた襖に、大層ガラの悪い笑顔で微笑みかけると、七緒は拳を握り締めながら茶の間へと戻っていったのだった。
<終わり>
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