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突発的に文章を書いてみたのですが、1話分に満たなかったのでブログで公開ー。
『こもりがみ』のいつもの華のないチームで季節ネタです。季節ネタを書くならば、この華のないチームがとても書きやすい…。
本文は折りたたみますので、読みたい方のみどうぞー。

「ちょっとカミサマ邪魔」
 そう言ってから、七緒は茶の間で倒れこむようにうつ伏せになっていたカミサマのわき腹を、思い切り蹴りつけた。蹴りつけられたカミサマはたまったものではないが、蹴りつけた七緒の素足には、カミサマが着ている八重山上布の麻の感覚が実に爽やかである。
「……!!!」
 七緒の容赦の無い蹴りに、カミサマがもんどりうってちゃぶ台の足に激突するが、当の七緒はそ知らぬ顔で、両手に持っていたお盆をちゃぶ台の上に置いて、さっさと夕餉の支度を始める。かちゃかちゃと音を立ててほぼ支度が整った頃、回復したカミサマが上半身をのけぞらせてちゃぶ台の上を覗いた。
「あ、鰹だ……」
「手伝いもしないでごろごろしているニートに食わせる鰹は無いわ」
 大皿に盛られた鰹の叩きに早速目をつけたカミサマに、七緒はぴしゃりと言い放った。青い顔のカミサマは、七緒に蹴られたわき腹をさすりながらゆっくりと起き上がる。
「いや、今日夏越の祓でしょ?すっかり忘れて散歩に川沿い歩いてきたらもー凄くて……うぇっぷ」
「ちょっとやめてよせっかくの鰹がまずくなるでしょ、ていうか川沿い歩くと酔うの?そもそも引きこもりニートの癖に優雅に散歩とか洒落込んでんの?馬鹿なの?死ぬの?」
「もう死んでるんだけどね……」
 七緒の容赦の無い口調に一応反論を試みたカミサマだったが、先の尖った箸を持った七緒に睨みつけられて途中で口を閉ざす。自分で言ったようにもう死んでいるカミサマは、箸でぐりぐりやられたくらいで死ぬことは無いが、それにしたって痛いものは痛いのである。
 割とえげつない攻撃方法をあっさりと繰り出してくる七緒に、カミサマが内心引いていると、からりと茶の間の襖が開いて、お櫃を抱えた千代婆さんがやってきた。
「はい、ご飯だよ。カミサマは食事できそうかい?」
「はぁ、なんとか」
「え、ちょっと待っていつからこんなグダグダなの?」
 そうだねぇ、と時計を見ながら、千代婆さんは自分の席に座った。なんでも、カミサマは午後になってふらふらと散歩に出かけた後、この死にそうな状態で帰ってきたらしい。若干憔悴して箸を取るカミサマに、七緒は胡乱な目を向けた。
「……変な病気持ち込んだんじゃないでしょうね」
「あー、それに近いかも」
「はぁ!?」
 朦朧とした様子で鰹の叩きに箸を伸ばすカミサマに、七緒はぎょっとして後ずさった。その様子を見て、カミサマはけらけらと笑う。
「いや、七緒は影響ないと思うよ。神経図太いし」
「図太いのと病気は関係ないでしょ!?」
 図太いのは否定しないのかい、という千代婆さんの冷静なツッコミにまたけらけら笑ったカミサマだったが、七緒の人を殺しかねない目に睨まれると、視線を泳がせながらも経緯を説明しだした。
「ほら、夏越の祓って、人型に半年分の穢れをうつして川に流すじゃない?俺も一応神様だからさー、穢れとか近づかない方がいいんだけど、今日が祓だってことすっかり忘れててね?涼を求めて川に近づいたらもう凄いの何の。穢れがめっちゃ流れてんの。ソッコー引き返したんだけど、ダメだねー。かなり拾ってきちゃったみたい」
「そんなに凄いのかい?」
「凄いですよー、密度九割八分三厘の流しそうめんレベル」
「ははぁ……」
 分かるような分からないようなカミサマの例えに、千代婆さんはしかつめらしい表情で頷きながら味噌汁をすすっている。
「で、カミサマはそこで何を拾ってきたのよ?」
「穢れ。けっこう吸着した感あるよ。今も俺の後ろに漂ってる」
 ちびちびと鰹をかじりながら、さらりと言ってのけたカミサマだったが、聞かされた方はたまったものではない。七緒は思わず箸を置いてカミサマをまじまじと見た。
「……あのさぁ、カミサマ?穢れってあんまりいいイメージないんだけど……」
「実際いいこと無いね」
 やや引きつった表情のままカミサマを見つめる七緒に、カミサマはあっさりと言葉を続ける。
「それが、浮いてるって?」
「うん」
 しかも結構な量だよねこれ、と己の背後をちらりと見たカミサマだったが、口の中の鰹を飲み込むと同時に、がしりと首根っこを掴まれて目を白黒させた。
「ちょ、七緒!?」
 カミサマが咄嗟に箸と茶碗をちゃぶ台に置くのを見計らったようなタイミングで、七緒はカミサマを廊下に引きずり出した。ぽかんとした表情のカミサマの前に、七緒が仁王立ちで立ちはだかる。
「とりあえず今すぐお祓いでもお清めでもしてきなさいよ!風呂沸いてないから水風呂でね!」
 眉間に皺を寄せたまま、びしぃっと風呂の方を指差す七緒に、カミサマは恐る恐る声を掛けた。
「え、鰹は……」
「お前に食わせる鰹は無ぇ!!」
 そう高らかに宣言すると、七緒はカミサマの目の前でぴしゃりと襖を閉める。ああああー、というカミサマの無念の声が襖の向こうから聞こえてくるが、七緒はその声を完全無視して、一心不乱に鰹を貪りはじめた。その様子を見ていた千代婆さんは、思い出したように手を叩くと、小首かしげて七緒に聞く。
「とりあえずファブリーズでもしてみるかい?」
「……食べ終わったらね」
 もぐもぐと鰹を頬張りながら、七緒は頷いた。背後では、カミサマの無念の声がいまだ続いている。

《終わり》
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