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先日、11月23日は「いいにいさん」の日だったらしいのですが、その際、自サイトには兄さんキャラがいない!と喚いておりましたら、じゃあ兄さんものの短編でも書けばいいじゃない!と言われ、そうだねそうする!と言い出したのが、11月23日の夜。
遅筆の自分が数時間で短編を書き上げられるはずも無く、気がつけばもうこんな日付でした!なんという負け犬っぷり!
しかし書き上げた手前勿体無く思い、日付なんぞ気にしないでUPすることにしました。
当初は『妹自慢をするウザい兄さんの話』を書こうと思っていたのですが、案の定方向性を見失いましたサーセン!いつものことですかサーセン!

以下、本文は折りたたみますー。


「広瀬……俺、義理の妹が出来たんだ」
「は?」
 駅前のチェーン店の居酒屋に呼び出され、店員の女の子にとりあえずビール、と声をかけた俺に、先に来ていた浜島は唐突にそんなことを言い出した。
 今日は明日提出のレポートのために、図書館に引きこもっているつもりだったのだが、浜島の是非話したいことがある、という一言に釣られてやって来たのだ。
 目の前に座るスーツ姿の浜島とは、中学以来の付き合いである。俺は大学に進学したが、浜島は就職した。生活サイクルは違ってしまったが、未だに付き合いは続いている。
「おばさん、再婚したの?」
「うん、まぁ……」
 中学からの付き合いなので、お互いの家庭環境は大体把握していた。浜島の家は世に言う母子家庭で、身長は小さいけれど声のデカいおふくろさん(俺はずっと前からおばさん、と呼んでいる)と浜島より身長のデカい高校生の浜島弟がいる。因みに、浜島弟は俺よりもデカい。
 しかし、とりあえずおばさんの再婚云々は置いておこう。俺に言えるのは、おばさんおめでとう、ぐらいなものだし。
「まぁ、それで?妹?」
「……じゅうろくさいのこうこうせい」
「……可愛いの?」
 ぼそり、と呟かれた浜島の言葉に、思わず質問が飛び出た。いや、やっぱりさぁ、女の子の容姿って気になるわけで。
 すると俯きがちだった浜島がきっと顔を上げて、ぺらぺらと喋りだした。
「めっちゃ可愛い。顔が小さい手が小さい身長が小さい。腕が細い足が細い。黒髪ボブでほどほどに日焼けしてる。あとなんか良い匂いする。ちょっと恥ずかしそうにお兄ちゃんって呼んでくれる。最近なんか弁当まで作ってもらっちゃってる」
「うっわ……」
 運ばれてきたビールと一緒に、口元まで出かかった言葉を飲み込む。その言葉はもちろん「それなんてエロゲ?」だ。だいたい、親の再婚で年頃の妹が出来て、その妹が可愛くてしかも盛大に懐いてくれるなどという話、二次元でしかお目にかかったことが無い。事実は小説より奇なりって、昔の人は上手いこと言うなぁと俺がぼんやりと思っている間にも、浜島はその妹のことをペラペラとしゃべり続けていた。
 俺は椅子の背もたれに体重を預けると、ビールを傾けながら呆れ半分に口を開く。
「……で?何?俺はその妹自慢を聞くためだけに呼ばれたわけ?」
 すると浜島はぴたりと口を閉じると、こちらに身を乗り出してきた。真剣な表情で俺を見ると、短く首を振る。
「違う。相談」
「相談?」
 怪訝な表情を浮かべた俺に、浜島は躊躇うような表情を見せると、ビールジョッキを持つ手元に視線を落とした。そして躊躇いがちに口を開く。
「その妹が家に来てから2カ月くらい経つんだけど……昨日、告白、されたんだよな」
 俺は思わず口に含んでいたビールを盛大に吹き出してしまった。口元を拭いながら、手元のビールジョッキを見つめる浜島に詰め寄る。
「ちょ、おま、告白ってつまり、そーいう意味の告白?」
「そうだな」
「どういうことなの!?ていうかおま、それどうしたの!?」
 バンバンとテーブルを叩いて主張すると、やっと浜島が俺の方に向き直った。そして、ぼそぼそと聞き取りにくい声で話しだす。
「いやもうなんかびっくりしすぎて固まっちゃって。そしたら、びっくりさせちゃってごめん、でも冗談でもないし、私は本気だからって顔真っ赤にして自室に行っちゃった。それが昨日の夜。今日はまだ顔合わせてない」
 浜島の言葉に、俺は手に持っていたビールジョッキを静かにテーブルに置いた。そして、先ほど飲み込んだ言葉を引っ張り出す。
「言っちゃならんと思ってたけど、あえて俺は言うぞ!それなんてエロゲ!?」
「俺だって言いたいわ!これなんてエロゲ!?」
 思わず椅子から半分立ち上がって叫んだ俺に、似たような体勢で浜島も半泣きで叫ぶ。と、俺たちはここが駅前の居酒屋だったことを思い出した。安いチェーン居酒屋はざわざわとやかましい場所ではあるが、あまりにやかましければ注目されることもあるのである。
 周りから向けられる微妙な目線に居たたまれなくなった俺と浜島は、無言のまま席についた。すると、浜島のケータイが着信音を立てる。メールの受信だったらしく、浜島は画面に目を通しぱくりとケータイを折りたたむと、深いため息をついた。
「……妹、迎えに来てくれたって」
「ちょ、マジで!?」
「うん、下にいるらしい」
「なにそれ俺見たい妹見たい!行くぞ!」
 会計票と浜島の首根っこを掴むと、俺は足早にレジに向かった。実際にそんな妹を見られるというのなら、是非とも拝んでおきたいというのが男心だろう。
 会計を済ませ、わくわくしながら居酒屋から出ると、そこにいたのはバイクにまたがった浜島弟だった。相変わらずデカい。店から出てきた俺と浜島に気付くと、軽く手を上げて挨拶する。
「ヒロさんチーッス!」
「……あれ?」
 浜島弟への挨拶もそこそこに、きょろきょろと周りを見回すが、女子高生らしき人影は無い。何しろ浜島弟はデカいので、後ろに隠れているのかと思ったがそうでもないらしい。俺の行動を不思議に思ったらしく、浜島弟がきょとんとした表情で首をかしげる。
「?どしたんスか?」
「いや、妹さんは?」
「は?妹?誰のスか?」
 ヒロさん妹いましたっけ?と言いながら、全く訳が分からない、という表情をしている浜島弟から、横にいる浜島に視線を移す。俺の視線が動いたことに気付いたのか、酔っ払って頬を染めた浜島もこちらを向いた。浜島は至極真面目な表情で俺と目を合わせると、ゆっくりと頷いて見せる。まさか、という思いと一緒に、冷たい汗が背中を滑り落ちた。神妙そのものの顔で、浜島は口を開く。
「うん、そういう妹がいたらいいよねって話」
「ふざけんなお前俺の3時間返せや!!」
 とりあえず俺は、浜島の背中に全力のひざ蹴りを叩きこんだ。ああ、今から急いで帰ってレポート書いて……ああもう、朝までに間に合うだろうか。

【終わり】
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